☆こちらは鬼灯の冷徹の私設ファンサイトという名の二次創作サイトです。(まことに申し訳ありませんが性質上18歳未満の方は御遠慮ください)★原作者・出版社等とは一切無関係です。女性向け、腐った妄想垂れ流し注意です。☆取り扱いカプ→鬼灯×白澤、白澤×鬼灯
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とんだ闇鬼神です注意
【鬼白】おまえを埋めるための穴をほる
【鬼白】おまえを埋めるための穴をほる
「掘りたい……」
「え」
「穴を掘りたい」
「何この人怖い!誰かお医者さん呼んで、至急救急車一台!」
【おまえを埋めるための穴を掘る】
「というわけでスコップを貸してください」
「僕の使うの!?というかココで掘るの!?」
ある晴れた日のこと、いつものように桃源郷に生薬の調合を椅子に腰掛け待っていた鬼灯は、思い詰めたような顔で呟いた。
「穴を掘りたい」と。
木の床を見つめる鬼灯の顔は真剣そのもので、ごりごりと唐辛子をすりつぶしていた白澤は、最初何を言われたかわからなかった。
きょとんと顔をあげ、鬼灯を見て、首を傾げて冒頭の会話。
「ちなみに『掘る』とはいわゆるそういう比喩的な意味ではありませんのでご心配なく」
「うん、よくわからないけど僕はおまえを心配したい」
――――
暖かい日差し。
涼しい風。
淡い桃の花びらが宙を舞う。
そして土を掘り返す鬼灯。
白澤は、着物をまくりあげスコップを振り上げわっせわっせと穴掘りに精を出す鬼灯を桃の木の下に座って見ていた。
ただ見ているだけではない、これは監視だ。
桃源郷を穴ぼこだらけにされたらたまらない。天国百景にも指定されている観光の名所である。それを地獄のように掘り返されるのだけは防がなければ。
ざっくざく、ざっくざく、何がそんなに楽しいのか、鬼灯は柔らかい土を掘りかえしていた。このまえのように落とし穴を作りたいのかと思えばそうではなさそうだ。
穴の深さはせいぜいが50センチ程、落ちたとてとても致命傷にはならない。
そしていくつも、いくつも、鬼灯はとてつもないスピードで穴を掘っていた。
そして掘り返したそばから土を戻して穴を塞ぐ。
こんもりと小高いところにある桃の木のふもとから見ていた白澤は、なんだかモグラたたきの穴みたいだ、と首を傾げた。
鬼灯は真剣だった。
脇目もふらず、白澤に軽口も叩かず、機械的に手を動かす。
いやに真剣な表情で、ただの悪戯にしては手が込みすぎているし、何の実害もない。
むしろ荒れ地を耕し、薬草を植える整地をしてくれているように見えなくもない。
白澤も、これには何か重要なワケでもあって、一応ここの主の自分も手伝ったほうがいいのかもしれないという気すら起きてきた。
「おーい鬼灯、何がやりたいのかわからないけど、大変そうなら手伝うよ?」
「いえおかまいなく」
白澤を振り返って見上げた鬼灯は、いつもどおりで、取り立てておかしなこともない。
何がしたいのだろうと首を捻り、
「まあいいけどね。見てるの馬鹿らしくて面白いし」
と柔らかい芝生の上に寝転がって、
気持ちのよさそうなあくびをした。
――――――
ざっくざく、ざっくざく、
掘っては埋めて、掘っては埋めての繰り返し。
もう20は掘り返し、同じ数だけ土を埋めた。
無為無常ここに極まれり。
三途の川の石積みもかくやという哀れぶりだと鬼灯は自分で思う。
それでも掘る手は留められない。
(この中のどれか一つがおまえの墓穴で、どれか一つが私の墓穴だ)
人を呪わば穴二つ。
これが天網恢々な地獄の掟だから。
「まあ、いいけどね。見てるの馬鹿らしくて面白いし」
手伝おうか、なんて呑気に叫ぶ白澤は、
まさか鬼灯が自分を埋めるための穴を掘っているとは思いもしないのだろう
こんもりとした丘の桃の木の元。
ゆるりと寝そべる白澤は、なるほど妖の長――森羅万象の理を知る優雅な神獣のように見えた。
人一人が余裕で収まるほどの穴がまた一つ出来る。
鬼灯は、この茶色い土の中に横たわる白澤を思い浮かべた。
白い手足を投げだし横たわり、白の道服と白衣はふわりと広がって、
見上げているのに見下されているような妖艶な視線をこちらに流す。
まるでベッドに寝そべり誘っているようだ。
なんて美しいのだろう。
鬼灯はひとつ息をつくと、心の中で墓標をたてた。
報われぬ想いと、
莫迦げた妄想と、
一瞬でも美しいと思ってしまった神獣への賛辞を。
墓標を立て、土をかけて元通りにする。
全て全て全て、この穴に埋めた。
「あれ、もういいの」
「はい、満足しました」
「ふうん」
――ただ一つ、めちゃくちゃにしてやりたいほどのこの狂暴な衝動を除いては。
結局何がしたかったの?と白澤は首を傾げた。
「スコップ、ありがとうございます、白澤さん」
「あたあ!」
鬼灯の投げたスコップは白澤の眉間に綺麗にクリーンヒットした。
(完)
――――――
お気に召したらぽちっといただけたら励みになります!
いつもありがとうございますー!
「え」
「穴を掘りたい」
「何この人怖い!誰かお医者さん呼んで、至急救急車一台!」
【おまえを埋めるための穴を掘る】
「というわけでスコップを貸してください」
「僕の使うの!?というかココで掘るの!?」
ある晴れた日のこと、いつものように桃源郷に生薬の調合を椅子に腰掛け待っていた鬼灯は、思い詰めたような顔で呟いた。
「穴を掘りたい」と。
木の床を見つめる鬼灯の顔は真剣そのもので、ごりごりと唐辛子をすりつぶしていた白澤は、最初何を言われたかわからなかった。
きょとんと顔をあげ、鬼灯を見て、首を傾げて冒頭の会話。
「ちなみに『掘る』とはいわゆるそういう比喩的な意味ではありませんのでご心配なく」
「うん、よくわからないけど僕はおまえを心配したい」
――――
暖かい日差し。
涼しい風。
淡い桃の花びらが宙を舞う。
そして土を掘り返す鬼灯。
白澤は、着物をまくりあげスコップを振り上げわっせわっせと穴掘りに精を出す鬼灯を桃の木の下に座って見ていた。
ただ見ているだけではない、これは監視だ。
桃源郷を穴ぼこだらけにされたらたまらない。天国百景にも指定されている観光の名所である。それを地獄のように掘り返されるのだけは防がなければ。
ざっくざく、ざっくざく、何がそんなに楽しいのか、鬼灯は柔らかい土を掘りかえしていた。このまえのように落とし穴を作りたいのかと思えばそうではなさそうだ。
穴の深さはせいぜいが50センチ程、落ちたとてとても致命傷にはならない。
そしていくつも、いくつも、鬼灯はとてつもないスピードで穴を掘っていた。
そして掘り返したそばから土を戻して穴を塞ぐ。
こんもりと小高いところにある桃の木のふもとから見ていた白澤は、なんだかモグラたたきの穴みたいだ、と首を傾げた。
鬼灯は真剣だった。
脇目もふらず、白澤に軽口も叩かず、機械的に手を動かす。
いやに真剣な表情で、ただの悪戯にしては手が込みすぎているし、何の実害もない。
むしろ荒れ地を耕し、薬草を植える整地をしてくれているように見えなくもない。
白澤も、これには何か重要なワケでもあって、一応ここの主の自分も手伝ったほうがいいのかもしれないという気すら起きてきた。
「おーい鬼灯、何がやりたいのかわからないけど、大変そうなら手伝うよ?」
「いえおかまいなく」
白澤を振り返って見上げた鬼灯は、いつもどおりで、取り立てておかしなこともない。
何がしたいのだろうと首を捻り、
「まあいいけどね。見てるの馬鹿らしくて面白いし」
と柔らかい芝生の上に寝転がって、
気持ちのよさそうなあくびをした。
――――――
ざっくざく、ざっくざく、
掘っては埋めて、掘っては埋めての繰り返し。
もう20は掘り返し、同じ数だけ土を埋めた。
無為無常ここに極まれり。
三途の川の石積みもかくやという哀れぶりだと鬼灯は自分で思う。
それでも掘る手は留められない。
(この中のどれか一つがおまえの墓穴で、どれか一つが私の墓穴だ)
人を呪わば穴二つ。
これが天網恢々な地獄の掟だから。
「まあ、いいけどね。見てるの馬鹿らしくて面白いし」
手伝おうか、なんて呑気に叫ぶ白澤は、
まさか鬼灯が自分を埋めるための穴を掘っているとは思いもしないのだろう
こんもりとした丘の桃の木の元。
ゆるりと寝そべる白澤は、なるほど妖の長――森羅万象の理を知る優雅な神獣のように見えた。
人一人が余裕で収まるほどの穴がまた一つ出来る。
鬼灯は、この茶色い土の中に横たわる白澤を思い浮かべた。
白い手足を投げだし横たわり、白の道服と白衣はふわりと広がって、
見上げているのに見下されているような妖艶な視線をこちらに流す。
まるでベッドに寝そべり誘っているようだ。
なんて美しいのだろう。
鬼灯はひとつ息をつくと、心の中で墓標をたてた。
報われぬ想いと、
莫迦げた妄想と、
一瞬でも美しいと思ってしまった神獣への賛辞を。
墓標を立て、土をかけて元通りにする。
全て全て全て、この穴に埋めた。
「あれ、もういいの」
「はい、満足しました」
「ふうん」
――ただ一つ、めちゃくちゃにしてやりたいほどのこの狂暴な衝動を除いては。
結局何がしたかったの?と白澤は首を傾げた。
「スコップ、ありがとうございます、白澤さん」
「あたあ!」
鬼灯の投げたスコップは白澤の眉間に綺麗にクリーンヒットした。
(完)
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いつもありがとうございますー!
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