☆こちらは鬼灯の冷徹の私設ファンサイトという名の二次創作サイトです。(まことに申し訳ありませんが性質上18歳未満の方は御遠慮ください)★原作者・出版社等とは一切無関係です。女性向け、腐った妄想垂れ流し注意です。☆取り扱いカプ→鬼灯×白澤、白澤×鬼灯
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
今日って4月10日(しんじゅうの日)じゃね!?と思ってカミサマな白澤さまです。白澤に夢みすぎているけどお許しください。神獣の日はやらないかな!!神獣さんください!!!
あめつちの詞
――あめ つち ほし そら やま かは みね たに
くも きり むろ こけ ひと いぬ うへ すゑ ゆわ さる
おふせよ えのえを なれゐて
歌のような、祝詞のような節に誘われ鬼灯が桃の木の間を縫うと、
一際大きな桃の大樹の枝に、白澤は身を預けて寝そべっていた。
あめは天の事、
つちは地の事。
「天、地、星、空、山、川――」
また盃を煽ったのか、気持ち良さそうに歌う白澤は目を閉じ、その朗朗と響きわたる詩がなければ
木の上で眠っているようにも見えた。
思えば、何千年も昔彼を彼と知らずして出逢った時も彼はこんなふうに酒をかっくらい木の上で寝ていた。
どこの仙人風情かと呆れれば、格としたらそれ以上だったのだから天国というのはいい加減なところである。
「――峰、谷、雲、霧、室、苔、人、犬、上、末、硫黄、猿」
気持ち良さそうに目を閉じ、朱い唇から詞が零れる。
万物を知る神獣にとってこの言の葉は世界に直結するほんの一欠片にすぎない。
しかし鬼灯は無意識のうちに彼を呼び止めていた。
「日本の手習い歌ですか。中国の獣がなぜ」
「ああ、鬼灯か。そんな小さな事に拘るものじゃない。僕が産まれたころはまだ倭も漢もなかったさ」
いろは歌のようにかなを一つずつ使われた謎かけの歌。
出来たのは1000年前、鬼灯と白澤の仲違いが決定的になったころだ。
憎らしい程呑気な声を鬼灯は見上げた。
桃の花の薄白と、晴天に目を細める。
地獄にも現世にもない明るさだ。
「それに僕は好きだよ。天は天国のこと、地は地獄のこと。ねえ、鬼灯」
木の上のチェシャ猫の、唇が弧を描く。
やはり酔っているのだろうか、その言葉はおぼつかない。
常より艶やかで、常より遠い。
白澤はぶらりとだらしなく垂らした腕で鬼灯を手招いた。
「降りてらっしゃい。私はあなたと違って高いところにわざわざのぼる趣味はありませんよ」
「穴を掘るほうが悪趣味だと思うけど。まあおまえに言われずともすぐ降りるよ。現世に行くんだ、おまえもくるかい?」
「あいにくどこかの極楽蜻蛉と違って私は忙しいので」
「あっそ。そりゃ残念」
白澤――徳の高い為政者の治世に姿を現すとされる神獣。
そのため白澤は頻繁に現世の皇帝の元に降り立った。
鬼灯と出逢ってからも、恐らく出逢う前も。
気に入った皇帝が見つかるたびに、
白澤は不愉快そうな鬼灯を無理矢理茶飲み話に付き合わせた。
「今度の皇帝は確かに賢帝なんだけど身体弱そうだしあれはすぐ暗殺されるな」
「戦もなく、餓えもなく、なかなかうまい治め方してる。ただちょっとお盛んかなあ。おかげで後宮の姫君達をいっぱい堪能させてもらったけど」
「信じられる?いきなり僕を捕まえて見せ物にしようとしたんだよ!でもまあ、剛胆で懐の深い子だったのは確かだね」
白澤が嬉しそうに報告しても、寂しそうに懐かしんでも、
鬼灯の眉間の皺は深くなった。
「天、地、星、空、山、川――」
永久の五行を口ずさむ白澤は一向に木をおりようとしなかった。
ひらひらと揺れる桃の花だけが時がうつろうことを告げる。
「――行かないんですか」
ついに鬼灯は業を煮やした。
「え!どこに!?」
「とうとう痴呆が始まったんですか。ついさっき現世に行くと行ってたじゃないですか」
「うーん、でもやめた」
「やめた?」
「鬼灯がいかないなら意味ないし」
てっきり、白澤は役目を果たしに(それが「ちょっとコンビニの新商品見てくる」程度の気紛れだったとしても)行くのかと思ったのだが思い違いだったらしく、鬼灯は首を捻る。
「秋葉原のメイド喫茶に案内してほしかったんだ。鬼灯はよく視察で行くから詳しいんだろ?僕これでも吉兆の印だからあんまりふらふら寄り道出来ないんだよ」
「そりゃ行く先々でガチャが大当たりしたり、何かの手違いでアイドルのサイン回抽選券が全員に当たったら困りますからね」
相変わらずだらしなく垂れている白澤の手を掴み、鬼灯は白澤を木の枝から引きずり下ろした。
「おわっ」
「そういうことなら仕方ない、私もちょうど先月出来たうさぎカフェに視察に行きたかったところですし、明日まで待てるなら一緒に行きましょう」
「うん、じゃあ明日ね。すっぽかすなよ」
屈託なる笑う白澤を見て、
鬼灯はどうして白澤の下らない茶飲み話を聞きたくなかったのか判った気がした。
――天、地、星、空
あめは天国、つちは地獄
48全てが過不足なく治まる世界はとても美しいものだった。
――――
お気に召したらぽちっといただけたら励みになります!
くも きり むろ こけ ひと いぬ うへ すゑ ゆわ さる
おふせよ えのえを なれゐて
歌のような、祝詞のような節に誘われ鬼灯が桃の木の間を縫うと、
一際大きな桃の大樹の枝に、白澤は身を預けて寝そべっていた。
あめは天の事、
つちは地の事。
「天、地、星、空、山、川――」
また盃を煽ったのか、気持ち良さそうに歌う白澤は目を閉じ、その朗朗と響きわたる詩がなければ
木の上で眠っているようにも見えた。
思えば、何千年も昔彼を彼と知らずして出逢った時も彼はこんなふうに酒をかっくらい木の上で寝ていた。
どこの仙人風情かと呆れれば、格としたらそれ以上だったのだから天国というのはいい加減なところである。
「――峰、谷、雲、霧、室、苔、人、犬、上、末、硫黄、猿」
気持ち良さそうに目を閉じ、朱い唇から詞が零れる。
万物を知る神獣にとってこの言の葉は世界に直結するほんの一欠片にすぎない。
しかし鬼灯は無意識のうちに彼を呼び止めていた。
「日本の手習い歌ですか。中国の獣がなぜ」
「ああ、鬼灯か。そんな小さな事に拘るものじゃない。僕が産まれたころはまだ倭も漢もなかったさ」
いろは歌のようにかなを一つずつ使われた謎かけの歌。
出来たのは1000年前、鬼灯と白澤の仲違いが決定的になったころだ。
憎らしい程呑気な声を鬼灯は見上げた。
桃の花の薄白と、晴天に目を細める。
地獄にも現世にもない明るさだ。
「それに僕は好きだよ。天は天国のこと、地は地獄のこと。ねえ、鬼灯」
木の上のチェシャ猫の、唇が弧を描く。
やはり酔っているのだろうか、その言葉はおぼつかない。
常より艶やかで、常より遠い。
白澤はぶらりとだらしなく垂らした腕で鬼灯を手招いた。
「降りてらっしゃい。私はあなたと違って高いところにわざわざのぼる趣味はありませんよ」
「穴を掘るほうが悪趣味だと思うけど。まあおまえに言われずともすぐ降りるよ。現世に行くんだ、おまえもくるかい?」
「あいにくどこかの極楽蜻蛉と違って私は忙しいので」
「あっそ。そりゃ残念」
白澤――徳の高い為政者の治世に姿を現すとされる神獣。
そのため白澤は頻繁に現世の皇帝の元に降り立った。
鬼灯と出逢ってからも、恐らく出逢う前も。
気に入った皇帝が見つかるたびに、
白澤は不愉快そうな鬼灯を無理矢理茶飲み話に付き合わせた。
「今度の皇帝は確かに賢帝なんだけど身体弱そうだしあれはすぐ暗殺されるな」
「戦もなく、餓えもなく、なかなかうまい治め方してる。ただちょっとお盛んかなあ。おかげで後宮の姫君達をいっぱい堪能させてもらったけど」
「信じられる?いきなり僕を捕まえて見せ物にしようとしたんだよ!でもまあ、剛胆で懐の深い子だったのは確かだね」
白澤が嬉しそうに報告しても、寂しそうに懐かしんでも、
鬼灯の眉間の皺は深くなった。
「天、地、星、空、山、川――」
永久の五行を口ずさむ白澤は一向に木をおりようとしなかった。
ひらひらと揺れる桃の花だけが時がうつろうことを告げる。
「――行かないんですか」
ついに鬼灯は業を煮やした。
「え!どこに!?」
「とうとう痴呆が始まったんですか。ついさっき現世に行くと行ってたじゃないですか」
「うーん、でもやめた」
「やめた?」
「鬼灯がいかないなら意味ないし」
てっきり、白澤は役目を果たしに(それが「ちょっとコンビニの新商品見てくる」程度の気紛れだったとしても)行くのかと思ったのだが思い違いだったらしく、鬼灯は首を捻る。
「秋葉原のメイド喫茶に案内してほしかったんだ。鬼灯はよく視察で行くから詳しいんだろ?僕これでも吉兆の印だからあんまりふらふら寄り道出来ないんだよ」
「そりゃ行く先々でガチャが大当たりしたり、何かの手違いでアイドルのサイン回抽選券が全員に当たったら困りますからね」
相変わらずだらしなく垂れている白澤の手を掴み、鬼灯は白澤を木の枝から引きずり下ろした。
「おわっ」
「そういうことなら仕方ない、私もちょうど先月出来たうさぎカフェに視察に行きたかったところですし、明日まで待てるなら一緒に行きましょう」
「うん、じゃあ明日ね。すっぽかすなよ」
屈託なる笑う白澤を見て、
鬼灯はどうして白澤の下らない茶飲み話を聞きたくなかったのか判った気がした。
――天、地、星、空
あめは天国、つちは地獄
48全てが過不足なく治まる世界はとても美しいものだった。
――――
お気に召したらぽちっといただけたら励みになります!
PR
Comment
最新記事
(05/22)
(05/22)
(05/22)
(05/22)
(04/12)
ブログ内検索
忍者アナライズ
カウンター